《「小岩井純良バター」発売百周年 》
「小岩井純良バター」は、1902(明治35)年に発売以来、本年12月で百周年を迎えます。厳選した牛乳を原料に乳酸菌を加えて醗酵させた、香り豊かなヨーロッパタイプの本格派として、大変多くの方々に親しまれてきております。
その歴史は、岩手県雫石町に位置する小岩井農場で、1899(明治32)年に木製チャーンと呼ばれるバター製造機を輸入して製造方法の研究を開始し、翌年春試作に成功したことに始まります。
製造方法は、既にヨーロッパでは主流だった自然醗酵を利用したもので、その素となるスターター(=クリームを醗酵させる乳酸菌培養液。独特の風味をつくる)を安定させてつくることに非常に多くの苦心がはらわれました。
苦心の末、1902(明治35)年に市販が開始されますが、我が国の一般家庭では、まだ乳製品が食卓に姿を見せることは無く、これに匹敵する商品は皆無に等しかったのです。ですから、「小岩井純良バター」は、当時の在日外国人や宮内庁等のごく限られた人々の間でしか知られていませんでしたが、その芳醇な風味は、ここで大変高い評価を得ました。
そして、1903(明治36)年に開催された 第5回内国勧業博覧会(=明治10年~36年の間に5回開催された我が国初の本格的な産業博覧会)において“二等賞”を、1966(昭和41)年には“農林大臣賞”を受賞しております。
この間には、容器を当初の缶から瓶へ変更したり、スターターの安定供給等をはかったほか、第二次世界大戦など激動の時代をも乗り越えて、生産を続けてまいりました。
1976(昭和51)年、小岩井農場を経営している小岩井農牧社とキリンビール社の折半出資により当社が設立されたのを機に、全国への販売を開始し、今日では、パンには勿論、さまざまなお料理に広く愛用されており、ラインナップには瓶入り(160g)とプラカップ容器入り(150g)があります。
「小岩井純良バター」がここに発売百周年を迎えられますのは、多くのお客様に長年ご愛顧いただいてまいりましたことはもとより、先人たちのたゆまぬ努力の結晶、情熱と希望の証でもあります。
長い歴史と伝統に培われた逸品である「小岩井純良バター」を、今後も品質とおいしさにこだわった小岩井乳製品の代表格として位置づけてまいります。
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